最高に心地いいガーデンづくり
お花が大好きという国民性をもつイギリスでは、リタイア後は”園芸が十分に楽しめる郊外に家をもつ”人が多いそうです。夫婦で一年中ガーデニングを楽しみ、さらに庭を公開している家を集めたガイドブックまであるというから、イングリッシュガーデンが世界的に有名なのもうなずけます。では日本庭園はどうでしょう。西洋のように外からどう見えるのかに重きをおかず、建物の付属品として家から眺めるものとされていました。しかし、そこには散策するという目的も持ち合わせており、自然のように魅せるイギリス風に対して、樹木は仕立てるもの、と形式美も尊重しています。そこでわが家はどんな庭にしたいのかをいろんな工夫で考えてみましょう。
最高に心地いいガーデンづくり
休日を家で過ごす家族のための庭づくりが、注目を集めています。例えば、「アウトドアリビング」という言葉があるように、「庭」をれっきとしたもう一つの部屋として考え、”庭で何かをしよう”という積極的な思考が現代の庭デザインにつながっています。イギリスではガーデンコンテストがあるほど、いかに個性を表現するかが問われますが、日本でも庭は家族の個性やライフスタイルを表現する場として大切な存在になってきています。家族とお茶をしたり、お友達とバーベキューを楽しんだり、子供たちの遊び場に活用したり、さらには菜園をしたい人も…。限られたスペースを使って、家族各々がどのように楽しみたいかを、設計時に考えておくと便利です。庭というスペースを「心地いいもう一つの部屋にする」という考えをもてば、毎日の暮らすに楽しみが増え、家族の行動の幅も広がることでしょう。素敵なコミュニケーションの場として、十分に活用していきましょう。
新築時には、まず庭の目的を考えましょう
庭が注目されてきたとはいえ、建物のことほど庭のことをしっかり考えている人はまだ少ないようです。一言で庭といっても①メインの庭②玄関周りなどの庭③坪庭・中庭などがあり、新築時には、まず自分の好みやライフスタイル、そして住宅との調和を考え、全体のイメージを具体化していくことが大切です。リビングからつながりをもたせた第2リビングとしての庭が人気ですが、「眺めていたい庭」なのか「大いに活用したい庭」なのかによって、庭の計画が大きく左右されます。また、その庭が東西南北どちらに面しているかでも使い方や目的が変わってくることでしょう。さらに「庭越しに家の中を見られたくない」「光を確保するための中庭や坪庭」が欲しいなら、室内からの魅せ方にもひと工夫しましょう。リビングからのつながりをもたせることで空間を2倍以上も広く活用することも可能になってきます。
庭と上手につきあうお手入れ計画
ようやく「理想の庭」が完成したと思っても、その後のメンテナンスをどうするかが重要。将来的に庭の存在がストレスにならないよう、事前にお手入れ計画を考えておきたいものです。
<自分で手間をかけるための庭>
ガーデニングを楽しみたい方へおすすめなのは”庭木を活かす”方法です。生垣を巡らせて視線を遮る方法も良いですが、気になる部分に木々を植えるだけでも効果的。高さの違う木をバランスよく配置したり、中高木と低木を前後に重ね合わせれば、視線が気にならなくなるとともに庭の眺めを高めることができます。
<手間をかけずに手入れがしやすい庭>
手入れしやすい植物や常緑樹などを植え、ウッドデッキや人工芝、タイルなど、芝刈りの時間を短縮できる素材をうまく活用しましょう。わが家の庭をどう手入れしていくかによって、新築の時点から「全て業者に依頼する」「自分で造る」「大掛かりまたは難しい部分のみ依頼する」のかを見極めていきましょう。
わが家らしい庭を楽しむ。眺める。くつろぐ。ガーデンバリエーション特集
庭と一言で言っても、今では世界中で実に様々なスタイルが楽しまれています。お国柄を表現した庭はもちろん、住む人のセンスや個性を自由に表現したものまで、実に「一つとして同じもの」がないのが、庭の魅力といえます。どこの国いっても、緑や花は、人々を癒してくれる存在であり、また”手をかけた分だけ美しく育ってくれる”やり甲斐のようなものを感じられると言えるのでしょう。
家族の生活の志向やスペースに応じたガーデンバリエーションをご紹介します。
花があふれるイングリッシュガーデン
イングリッシュガーデンの主役は植物たち。季節ごとの様々なカラーの花たちを立体的に見せると、よりヨーロッパ風になります。さらに、フェンスやアーチなどで植物と組み合せると本格的に。特にツルバラとは相性抜群です。木製のラティスフェンスなら、植木鉢を引っ掛けることができ、ベランダなど限られた範囲でのガーデニングにも役立ちます。白木やナチュラル、ニスを塗ったような黒系など、木目もバリエーションがあるので、庭のテイストに合うものをセレクト。また、レンガや石などを利用して小道を造るのもイギリス風。道の両側にも小花やハーブを植えて可愛らしくデザインしましょう。
石やタイル、照明だどで美しく作り込んだ庭
「庭は作りたいけど手入れをする自信がない」というご家庭は意外に多いものです。そんな場合は、タイルをはじめ、石や砂利など、人工の材料を使った庭がおすすめ。植物以外の素材の割合が多いと、圧倒的に「お手入れが楽になる」というメリットがあります。植栽地とそうでない所を分けて植栽地以外は舗装すると、庭空間にメリハリができ、草取りに時間を取られる心配もなくなります。庭を立体的に魅せるパーゴラや、水のせせらぎを楽しめる壁泉、さらに夜の庭を幻想的に演出するイルミネーションをはじめ、照明器具などの力を借りて、美しく演出しましょう。灯りがあるだけでも防犯対策にもなり一石二鳥。また、タイル貼りの庭は、虫に悩まされることも少なく、お茶やバーベキューが楽しめるというメリットも大。ベンチや置物など、庭を引き立てるガーデン雑貨もお忘れなく。
町家にみならう坪庭の奥深さをもう一度
京都の町屋に坪庭が誕生したのは桃山時代。間口が狭く、奥に長い「うなぎの寝床」のような構造のため、採光と風通しのために造られたのが「坪庭」でした。コンパクトな空間に差し込む光、降り注ぐ雨や雪、風に揺れる草木…。人々は、そんな坪庭が見せてくれる表情から四季の移ろいを感じ取っていました。また、和の庭園の魅力は、ただ単に景観としての美しさだけではなく、石を組み上げて滝を表現したり、自然の一部を取り込んで大風景を作る味わいがあります。また、水を使わずに大海や水の流れを表現する「枯山水」の奥深さも、気軽に楽しんでみましょう。
プライバシーも守って目の保養にもなる中庭のすすめ
街の中に家がある場合は、庭を楽しむにあたっても外からの視線が気になるもの。「カーテンを閉めない生活がしたい」「道路を歩く人に家の中を覗かれたくない」という家族には、中庭を取り入れてはみませんか。プライバシーを守れることと、太陽の光をふんだんに入れられることが最大のメリットで、さらに、それぞれの部屋から中庭に出られるので、家族のコミュニケーションにも活用できる場所になります。リビングまたは和室からつながるように、ウッドデッキを設ければ、縁側のようにくつろぐことができます。また、家の中心に緑があるだけで目の保養になるのが嬉しいですね。
バスルームから坪庭を眺める贅沢を
和室や玄関からの坪庭もいいですが、バスルームから眺められる坪庭というのも風流です。夜にはライトアップすれば雰囲気が出て、家にいながら”温泉”に出かけたような風情とご褒美感が楽しめます。条件としては、塀と浴室のあいだに少し空間を設けることと、植物を植えられる環境にすること。さらには、隣近所や公道からの視線や角度も確認しておきましょう。
新築時のガーデンプランで家の印象を決める
一戸建てを建てる際、「庭」をどうするか悩む人も多いのではないでしょうか。庭の専門家である造園業者から外構のプロであるエクステリア業者、ガーデンデザイナーなど、誰に依頼するにしても、だいたいの希望イメージを伝えておくことが大事です。まず第一に考えておきたいのは、住宅と庭の調和について。モダン、ヨーロピアン、和、優しい、すっきりなど好みのテイストは決めておきましょう。特に玄関の外側に植栽をするなら、植物の種類や花の色などが、外観の印象に大きく関わってきます。門や門柱から玄関までのアプローチをはじめ、道との境界線、パーキング周りなど、エクステリアに花や緑のあるお宅は素敵に見えるもの。道行く人に眺めてもらえるオープンプランも人気です。
<モダン×オープンプラン>
エントランス自体を庭に見立てるアメリカンスタイルのモダンガーデンも取り入れられています。
<和モダン×オープンプラン>
石垣も歩く人の目を楽しませる和のスタイルで。適当な木の配置でプライバシーを確保します。