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食で育む健康と暮らし

そもそも台所の存在とは、はるか昔”人類の住まい”とともに始まったといえるでしょう。キッチン(kitchen)の語源はラテン語のco-guina(火を使うところ)、古来後ではcycene(クチーナ)とされ、「洞穴または竪穴の小屋の真ん中に薪の炉を設け、その周りに家族が集まり、寝起きもしていた」といわれています。暖をとるための薪の炉では、煮炊きをしながら焼き物も行い、食事を賄う場所としても機能していました。また日本の「台所」は、平安時代の貴族たちが食事をする部屋”台盤所”が語源とされますが、明治時代に入ると台所の機能は一般家庭に広がり、床上に竃(かまど)、土間に「つくばい式(手水鉢)の流し」を設置して、七輪などを使って床上で調理していました。時代は移り変わり、今では多種多様になった食卓で、いかに健康を考えながら楽しく暮らせるのかを考えてみましょう。

 

食生活のいろはが整うキッチンとは

モノがあふれる現代では、キッチンのインテリアをはじめ、調理器具まで、様々なデザインやアイデアが手に入るようになりました。最近人気なのは「レンジでチンするだけで・・・」の時短グッズたち。料理以外のことに時間を割けるようになったのは有難いことですが、私達のカラダを作る”毎日の食事”に重きをおけば、やはり手間がかかっても体にいいとされる調理法や安全な調理器具で料理をしたいものです。昔の人はこれひとつで何でも作ってていたという”土鍋”や、”ヒノキのまな板”、100年経っても使えると言われている”錆びない鉄製のフライパン”切れ味のいい包丁など、長く愛用できるのは「本物」の証拠。シェフ達が使い続ける理由があることは、使っていくうちに分かってくるはずです。あなたのキッチンでも「ロングセラー」のいろはを少しずつ揃えていってみませんか。

 

スローフードが楽しめる余裕のある環境作り

「スローフード」という言葉は「ファストフード」への風刺の意味を込めて、1980年代の半ばに生まれました。「スローフード協会」が発表した「スローフード宣言」には、次のようなコンセプトが掲げられています。「食材の文化を広め、伝統を維持し学習すること」「農産物を環境破壊から守ること」「消費者と良心的な生産者の保護を図ること」「食についての楽しさや知識、五感を教育し、人とともに食べる喜びを研究し広めること」このような意識をつねに持っていれば、毎日口にする食事の内容も自然に変わっていくような気がします。インスタント食を全く摂取しないというわけではなく、週末など余裕のある時に「手作りを楽しむ」「手のこんだメニューに挑戦してみる」など、自分にあった方法と価値観で、食への関心を高めていけたらいいですね。


食で育む健康と暮らし

健康を守る食生活を育むには、まず「一日三食、決まった時間に適した量を食べる」ことが基本中の基本。大切なのは、いかに”家族がそのルールを守れるような環境を作ってあげる”かということです。食べる気はあっても、テーブルの上に物が置かれていたり、食器が洗われていなかったりすれば、食欲を起こさせません。現代の多くの人々が、朝からコンビニエンスストアのもので済ませる習慣がついてしまいがちなのは、忙しい朝の時間に余裕がないということも挙げられます。たとえ共働きであったとしても、その日一日のエネルギーとなる大切な朝食は、家族そろってとるようにしたいものです。朝にお米を摂ることは、長時間にわたって血中にブドウ糖を供給でき、同時に一汁三菜を心がけるようになるので、栄養価とバランスの高い食事ができます。


豊かな食卓のためのキッチン&ダイニングインテリア

暮らしが多様になるにつれ、キッチン&ダイニングの在り方も、様々なスタイルが取り入れられるようになってきました。毎日の食事をとることをもちろん基本中の基本ですが、そこに「家族のだんらん」や「使いやすさ」そして「動線のよさ」などをいかに考えられているかが「豊かな食卓」といえるのではないでしょうか。今回は、近年人気の「土間スタイル」から二世帯住宅キッチンまで多種多様なキッチン&ダイニングのインテリアをご紹介しましょう。


”土間のある”ふれあい型の厨房ダイニング

近年若い世代にまた見直されはじめているのが、昔なつかしい「土間のあるキッチン」。汚れやすいキッチン部は、タイルや石を敷き詰めた土間タイプにしておいて、一段上がったところにダイニングテーブルをおけば、カフェ風の空間が出来上がり。適度な距離をおくことで、調理を楽しむ”厨房”空間と、食事を楽しむ空間のそれぞれが楽しめ、さらに行き来をすることで、お店のようなおもてなしができるのも魅力。調理と食事が近いカウンターキッチンとは、ひと味違うふれあいが楽しめます。土間の続きで庭に出られるようにすれば、バーベキューもスムーズ。「食」と通じて、家族や友人達とのふれあいを育むスペースをもっと多様化して、新鮮なスタイルを取り入れてみませんか?

 

カウンター+掘りごたつで、ほっこり居酒屋風

上で紹介した「土間のあるキッチン」を、今度は和風にしたスタイルを紹介します。土間にしたキッチンをカウンター仕様にし、対面式でチェアーを置けば、まるで割烹や居酒屋の雰囲気が完成。さらにカウンターとつながった直線上に掘りごたつのある”たたみのダイニング”をつくれば、思わず長居したくなるような”ほっこりとしたダイニングインテリア”ができあがります。たたみ部分には、土間から靴を脱いで上がれるようにしておけば、お客様はまるでお店でおもてなしを受けたような気分に。直線上で調理→食事が行えるので調理する側も料理を出す動線が短くて済み、効率もアップします。また、玄関や中庭からつなげて靴のままダイニングへ行けるのは来客時にも魅力。「和のおもてなし」が再び注目されている近年において、新築時やリフォーム時に検討してみてはいかがですか?


会話がはずむアイランドVSペニンシュラスタイル

近年多く見られるⅡ字型のキッチン。その人気の理由は、アイランド型調理台があることです。家族でわいわい調理できるのはもちろん、対面にカウンターチェアをおけば、ちょっとしたおしゃべりをしながら調理ができるのが魅力です。直線上にダイニングテーブルを置けば、全体のレイアウトをすっきりし動線も短くなります。一方でペニンシュラ型のレイアウトという、L型やU型の調理台が壁から半島(peninsula)のように突き出したスタイルも人気。半島の部分には内側にシンク、外側にオープンカウンターを据えて対面式に。最近はアイランド型と明確な差がありませんが、キッチンと壁面が接する部分が少ないほど、収納キャビネットの設置スペースも少なくなってしまうことに注意しましょう。このペニンシュラ型が人気な理由は、調理台を取り囲めること。友達を読んでペニンシュラに集まって料理を学びながら作り、一緒に食事を楽しむ。家族を超えた、新たな交流型キッチンスタイルとして活躍します。開かれたキッチン=会話がはずむ場所となって人生を豊かにします。

 

二世帯住宅なら、U型キッチンで調理スペースが広々取れる

二世帯住宅で問題になるのが、キッチン事情。各世帯で異なるものを作りたい時に、調理スペースが限られていると効率が悪くなります。そこで壁面を有効利用したU字型がおすすめ。3面の調理スペースを確保できるので異なるメニューを作れ、気を遣うことなくのびのびと調理に取り組めます。2世代〜3世代と、食するものが違ってくる日常に活躍するスタイル。

 

子供から高齢者まで。時代に合わせて成長していけるユニバーサルダイニング

かつては片隅にあったキッチンがリビングの一角に進出し、対面式になっているスタイルが一般的になりました。そこには遮るものがないため、開放感が生まれ、”家族の会話”がはずみ、キッチンは子育てと共にみんなの調理台となりつつあります。少子高齢化が進んだ社会では、キッチンはもっと住まいの中心となることでしょう。そこで提案されているのが、キッチンに程近いダイニングに、炉辺=まるでいろりを囲んでいるようなスタイルを取り入れること。主役として、いろりの代わりに、ジャンボテーブルを作るのです。ここでは食事するのはもちろん、勉強も家事も、そしてクラフトや手芸などの趣味も行っていいのです。世代を超えた家族がみんなここに集まってくるのに、それぞれ違うことを楽しめる。時には”団らんの場”としても活用できる、まさに「ユニバーサルダイング」です。

 

子供を食べ物から守る”マクロビオティック”が人気

カラダの組織をつくる乳幼児から成長期においては、口にするものにも何かと気を遣います。食品加工物や添加物が気になる家庭で最近注目されている”マクロビオティック”は、「自然と調和をとりながら、健康な暮らしを実現する」という考え方。身土不二(暮らす土地の旬のものを食べること)と、一物全体(自然の恵みを残さず丸ごといただくこと)の二つの原則があります。食材というものは、丸ごとでバランスがとれているようにできているため、たとえば穀物なら精米していない玄米、野菜なら皮や葉も栄養があり、その全てを摂ることでカラダのバランスがとれるという考え方です。子供や家族の健康を考えると、毎日ではなくとも、地元の野菜をできるだけ多く使って、急ぐことなくじっくりと手作りしたいものです。食卓に出す料理に入っているものがすべて把握できるような、安心で安全なものを摂っていきたいものですね。

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