家族の気配を感じる安心住まい
西洋の暮らしでは、その昔より「靴のまま家の中へ入る」習慣があるのに対し、日本では「靴を脱いで畳の上で=つまり床に座る」習慣の中で暮らしてきました。ダイニングテーブルやソファで家族や仲間との交流を図ってきた西洋とは異なり、わが国では床の上にあぐらをかいたり、寝転んだりしてくつろぎ、布団を並べて寝ることで家族の絆を固めてきたのでしょう。また、古くから囲炉裏を囲むという風習もありましたが、それが発展してこたつや座卓に集まることでも家族のコミュニケーションを図ってきたものです。現代の暮らしには随分西洋の家具が取り入れられ定着しましたが、近年また「家族の気配を感じられる間取り」や「床に近い暮らし」が見直されはじめています。家族がいてほっとする、心地よく感じる”安心のインテリア”を一緒に考えてみることにしましょう。
家族の気配を感じる安心住まい
日頃はオープンにしているリビングルームでは、子供たちがおもちゃを広げて遊んでいるパターンがよくあります。しかし時には「大人は大人でくつろぎたい」「子供は子供だけで遊びたい」という気分も出てくるもの。そんな時、リビングの一角にロールスクリーンを設置すれば、程よくセパレートすることができ、気配を感じながらもそれぞれやりたいことに集中できます。これはどんな部屋にも応用でき、たとえば今ある洗面室に脱衣所を儲けたい時や、寝室と子供部屋をさりげなくつなげたい時などに有効的な方法です。ロールスクリーンで仕切るスタイルは、プライバシー感をもてるだけでなく、ある程度の断熱効果もあるため、家族の誰かが外出している際のエアコン使いを節電したい時にも効果的です。間仕切りブラインドなどにも同じ役割や効果が期待できます。
玄関先のプライバシーはどのようにすれば安心?
仕事関係の打ち合わせや銀行との取引など、リビングまでは通さないにしても、玄関先でちょっとした対応をしなければならないとき、スペースがなくて困るときがありますよね。あまり家の中が見えすぎないようプライベート感を守りつつ、閉塞感がないよう応対することも大事です。そんな時、左のイラストのように、玄関横のほんのスペースを確保して、半分ほど透け感のある間仕切りにするだけで、随分印象が変わってきます。家族の気配を感じさせつつ、気持ちの切り替えができる、そんなシチュエーションを作りたい時に、間仕切りにある間取りがおすすめです。来客時だけでなく、外出の準備をする場所として、また子供が集中して宿題などができる場所としても最適です。
2階にも家族が集まりやすい仕掛けづくり
1階に吹き抜けのリビングや、オープンなリビングダイニングを作っている場合、どうしても2階は「寝るだけのお部屋」となりがちです。せっかく日当たりの良い2階スペースを、もっと有効的に活用するには、いかに「家族が集まりやすい」仕掛けをするかが大切です。たとえば子供部屋はベッドで部屋を埋めるのではなく、ふかふかのマットを前面に敷いておけば、子供との遊び場にもなりますし、そのまま寝床としても活用できます。特にお子様が小さい間は、添い寝をするために広いスペースを確保したほうが、ママも心地良く過ごせて一石二鳥です。
会話がはずむサンクンリビングの魅力とは?
昔より床に近い暮らしをしてきた日本人が、いまあえて”座るインテリア”や”低い家具”を選ぶことでロースタイルの心地よさを楽しむようになりました。そこでいま注目されているのが、サンクンリビングといって、リビングの真ん中を掘りごたつのように掘り、腰掛けたり座ったりするという場所を作ることで、家族のコミュニケーションが図れるインテリアスタイルです。かつてのこたつ文化が受け継がれたともいうべきこのスタイルが三世代でも支持されています。
日本人らしい床に近い暮らし
ロースタイル=”低めの家具を取り入れる暮らし”は、床に近づいてよりくつろげるほか、インテリアを開放的に見せるというメリットがあります。例えば、サンクンリビングをはじめ、ローソファやローダイニングなど低めの家具を中心としたコーディネートでは、テレビ台の高さも低めに抑えることで、部屋全体が圧迫感の無い開放的なイメージとなります。さらに、一般的な高さの家具と、低めの家具とでは動線の取り方に違いが出ます(下のイラスト参照)。ダイニング用のチェア片側をベンチタイプ(背無し)にするだけで、せまい場所でも人が通れる貴重な動線とすることができます。またソファーひとつをとっても、低い座面と背もたれで奥行きは広め、少し固めの座面を選ぶことにより、まるで床で過ごしているような感覚を実現できます。さらに、限られた空間にもロースタイルは最適で、寝室などは特に狭いスペースをいかに広く見せるという点が重要になるため、大きな面積を占めるベッドの選び方次第で見え方が大きく変わります。
高めの家具の場合 動線600mm~ / 低めの家具の場合 動線500mm~
”仕切りのあるサンクンリビング”でめりはりを
サンクンリビングは、視線に高低差があるため、ほど良い仕切り感があるのが魅力です。それに加えて、その隣に和室を設け、その間を障子で仕切ることで、さらにプライバシーを守ることができます。お客様が来た際、どちらの部屋にお通ししたとしても、障子でスペースを仕切ることにより、それ以外の家族は気配を感じながら、自分のやりたい作業ができるというわけです。また、通常のリビングよりサンクンリビングは低い目線でいられるので、大人数が集まった際にも、障子をオープンにすると、和室との目線が同じになり、違和感なく過ごすことができます。
ウッドデッキのある生活なら家族のコミュニケーションが生まれる
家族の気配を感じられる工夫といえば、なにも家の中に特化する必要はありません。たとえば、複数の部屋からつながっているウッドデッキなら、誰かが外でくつろいでいるのを眺められ、間接的にもほっとすることができ、また一緒にくつろいだり遊んだりといったこともできます。木の持つ風合いが心地いいのはもちろん、床がサラサラして足もとの感触が楽しめるので、二世帯住宅にはもちろん、子育て世代にもとても多く取り入れられています。デッキ上に屋根を設けていれば、天候にかかわりなく外の空気を吸うことができますし、天気のいい日には椅子を出して読書やバーベキューなども楽しめます。