人が集まる快適空間の作リ方
わが国で“人が集まるインテリア”を考えるようになったのは、いつからでしょうか?戦後の昭和は、まだまだ洋風のインテリアは一般的ではなく、たたみに障子や襖といった和風の空間でした。それでも家族が集まってくる居間には、こたつやちゃぶ台など、ついついお喋リしてしまう家具が置かれていました。こたつや囲炉裏を囲んでお茶を飲んだり食事をしたり…という昔ならではの文化は、家族や人々の会話をつなげるコミュニケーション型インテリアの発祥といえるのではないでしょうか。それがやがて、ソファになり、ダイニングテープルになり、と欧米スタイルが導入されていき今のようなリビング&ダイニングのスタイルができあがった経緯があります。ただ昔も今も、変わらず共通して言えることは、どうすれば家族やゲストがくつろげるか、という視点でコーディネートしていくことです。ついつい長居してしまう、お喋りに花が咲いてしまう…というのは、その空間がとてもくつろげる快適な空間であるということ。日々きちんと整理されていることはもちろんのことですが、庭に咲いた花やハープをちょっと飾ってみたり、人が集う場所にクッションを置いてみる、といったプラスアルファの一工夫をしてみることで、より快適な雰囲気が演出できます。今回は人がついつい集まって長居してしまう“快適空間”を演出するアイデアを一緒に考えてみましょう。
人が集まる快適空間のつくりかた
家族が集う空間に「快適に過ごすためにはリビングルームはこうあるべき」といった決まりはありません。まずは家族にとってどんな形が一番くつろげるのかを考えたインテリアを計画することが大切です。そこで提案したいのは、リビングやダイニングのインテリアを決める際には、まずは家族全員のくつろぎのスタイルを考えること。家族それぞれの個性があったり、どこで何がしたいという希望があると思うので、できるだけまんべんなく満たしているとみんなが集いやすくなり、快適に過ごせるはずです。ソファ派の人がいれば、フロアで寝転びたいという人もいるでしょう。または「和室を充実させたい」「ペットを飼いたい」など、様々な意見が飛び交うかもしれませんが、いちばん大切なのは、距離感です。ソファひとつをとっても、家族全員が仲が良く、一緒に同じ時間を過ごすならL字型を。ある程度自分の空間を確保しながら別々の時間を過ごしたいなら、シングルソファやクッションを人数分そろえるなど、家族それぞれが思いのままゆっくりと過ごせるような距離感を大事にしていきましょう。
縦よりも横に広がるフラワーコーディネイトを
ゲストが来る時は張リ切ってついついお花を大きな花瓶に大胆に飾ったりしてしまうことがあります。普段の生活でもお花があると家族が癒されるのは間違いありませんが、そこまで大胆に飾る必要はありません。たとえばコップに一輪の花でもいいですし、もう少しテーブルを華やかにしたい時は、フラットなお盆やマットの上に、たくさんのコップを並べて様々なお花を浮かべて、幅広く飾ると、華やかさが生まれます。洗面所やベッドルーム、床の間などにも、お花があると心やすらぐことでしょう。もし飾っていたお花が枯れかけてしまったら、花びらをわざとばらして、お水をはったお皿に浮かべてみるのもおしゃれです。
ゲストが来ることを想定したインテリアに
不意のゲストが来た際にもあわてないために、あらかじめ「人が集まりやすい家」にコーディネートしておくと安心です。そのためには、家族以上の人数にも対応できるインテリアアイテムを用意しておきたいもの。でもスペースが限られているのが現実の問題です。そこで便利な家具としては、伸長式のテーブル。普段は家族だけで、人が増えた時はさっと伸ばせばゲストが来た時にもぴったりです。また椅子は、スタッキング(重ねる)できるものや折リたたみ式をゲスト用に準備しておきましょう。ゲストに見せたくないキッチン廻りは普段がら隠せるレンジボードや、移動できるカウンターワゴンを使っておけば便利です。
子供の目腺や童心に帰るインテリアの演出
近頃のキッズ用家具は、大人もうらやむようなおしゃれで本格的なものが増えています。スペース的に余裕のないご家庭や、お子様がいらっしゃらないお宅でも、キッズ家具売り場をぜひチェックしてみてください。ミニマムな形が多いのでスペースが限られている部屋や小さな空間用に、意外に便利でマッチするかもしれません。
子供部屋に、またはリビングの一角にkidsコーナーを
お子様が小さいうちは、目が届くように、あえて子供部屋を作らず、リビングの一角をキッズコーナーにすることをおすすめします。アクセント的にカラフルなものを取り入れたり、大人でも活用できるコートラックやシェルフなどを置いて、ユニバーサルな空間に演出してみましょう。
盛り付けのセンスを上げて普段の食事も豊かに
たとえ料理が上手くても、盛り付けがセンスよくなければ”料理のセンスが良い”とはいえません。盛り付けの中にはもちろん器選びなどテーブルコーディネートも含まれているので、レストランやホテルなどで「素敵」と思うようなコーディネートがあれば、是非マネしたいものです。様々なアレンジが出来るよう基本はできるだけプレーンな白の器をセットで用意しておきましょう。
重ねるだけで高級感をもたらすテーブル術
器と器を重ね使いするだけで、いつもの食卓よりぐっと料理が際立ってきて、クラスアップするから不思議です。丸と丸の大きさ違いの皿を重ねてフレンチ風に。また右のイラストのように長方形で合わせるとオリエンタル風に演出できます。左のイラストは、ケーキ皿の上にスープ皿をのせただけで、カフェ風のコーディネートが完成。新たに買い足さなくても、今持っている食器の組み合わせひとつで、新しいイメージが産まれるかもしれませんね。
食材はできるだけカラフルなものを組み合わせる
「わぁ、美味しそう」の声を聞きたいなら、見た目の印象はとても大事。色合いは料理の美味しさを左右するものなので、どこかワンポイントで赤やグリーンを添えると盛り付けが際立ちます。トマトやパプリカ、ラディッシュなどの赤。バジルやハーブなどのグリーン。大きなお皿に、料理を広げるのではなく、できるだけ盛り付けに高さをつけて、かさ高く盛るとホテルライクに見えます。
効果のあるプラスアイテムで上質感を
照明の使い方ひとつで落ち着きの空間に
照明器具は、部屋のイメージを変えるのに効果的なアイテム。日中に灯りをつけなくても、そのたたずまいがおしゃれなもの。そして夜には間接照明をつけて光のグラデーションを作ると、雰囲気をより手っ取り早く作りだすことができます。欧米などでは間接照明だけで過ごすことが多いので、よりお洒落に感じるのはそのせいです。
上質なものをソファに掛けるだけでグレードアップ
無地のプレーンなソファでも、グレード感のあるスロー(小さな毛布)やブランケットを掛けておくだけで、リビングの印象がセンス良く見えます。家族やゲストが、ひざ掛けとしてくつろげるのも魅力。思い切って上質な一枚を買っておけば、永く使え、部屋のいろいろなシーンで重宝するはずです。