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長期優良住宅の認定基準について詳しく解説します。

以前発信した住宅コラム「最近よく聞く長期優良住宅ってどんな住宅?」にて長期優良住宅の制度内容について紹介しました。
長期優良住宅制度は、“長期にわたって良好に使うことができる住宅”を国内で積極的に普及させるためにできたものです。
長期優良住宅を取得した人はさまざまなメリットが受けられるようになっていますが、認定されるためにどんな基準を満たさなければならないのか分からないという人は多いかもしれません。
そこで今回は長期優良住宅の認定基準について紹介したいと思います。

 

 

まずは長期優良住宅のメリットについておさらい

長期優良住宅を購入した人にはどんなメリットがあるのでしょうか。
まずは概要についておさらいしてみましょう。

長期優良住宅を購入するメリット

☑住宅ローン控除(ローン減税)の上限額が拡充される
☑登録免許税、不動産取得税、固定資産税などの税制優遇が受けられる
☑フラット35の金利優遇が受けられる
☑地方銀行などの金融機関でも金利優遇が受けられることがある
☑より長く使うために建築された建物であるため、資産価値が落ちにくい

「長期優良住宅」として認定された住宅を購入することで、金利や税金などで大きなメリットがあるということがわかります。
では、どのような住宅が長期優良住宅として認定されるのでしょうか。
具体的な認定基準を確認してみましょう。

 

 

①劣化対策がされていること

既存の建物が取り壊される原因の一つとして建物自体の劣化(老朽化)があげられます。せっかくつくった建物が短い期間で繰り返し取り壊されると環境にとって良くありません。
長期優良住宅では劣化対策が講じられているかという点が審査されます。
具体的には下記の基準が求められます。

☑劣化対策等級3に相当していること(3世代まで大規模な改修工事をせずに使える対策が講じられている)
☑床下や屋根裏に点検口を設置していること
☑床下空間の高さが一定以上(330mm)であること

 

②耐震性が高いこと

地震が多い日本において建物を長く使用するためには、やはり災害対策も必要不可欠です。
認定基準では災害に強い建物であるかどうかという点も厳しくチェックされます。
長期優良住宅として認定されるためには、数十年~数百年に一度クラスのきわめて稀な地震が起こっても最小限の損傷で抑えられるように下記いずれかの措置を講じなければなりません。

☑耐震等級3であること
☑免震建築物であること
☑大規模地震時の地上部分の各階の安全限界変形の高さに対する割合をそれぞれ1/40以下とすること

 

 

③可変性

数十年という長い期間を過ごしているとそこに住む人のライフスタイルや家族構成が変化していくということもありますが、変化があったタイミングで建物を手放すという人は少なくありません。
たとえば子供が大きくなり独立し、夫婦だけのセカンドライフをスタートしようとしたときに、「今まで住んできた住宅が二人で暮らすためには大きすぎて不便だ」ということで建物を売却したり建替えたりするケースは珍しくないのです。
しかしその住宅が容易にリフォームして活用できる構造になっていれば、少しの改修だけでそのまま継続して住み続けることができます。
長期優良住宅制度では、居住者のライフスタイルが変わっても長く使い続けやすいように可変性(リフォームのしやすさ)の要件が求められることがあります。
(※現在、一般的な一戸建て住宅への適用はなし)

 

 

④維持管理・更新が容易であること

建物を長く使うためには定期的なメンテナンス(維持管理)が欠かせません。
しかしメンテナンスの知識がない人だと適切な維持管理ができず、結果として建物の劣化を早めてしまうということが懸念されます。
長期優良住宅では建物の維持管理を容易に行うために必要な措置が講じられていることが求められます。

☑躯体に影響を与えることなく配管の維持管理ができること
☑更新時の工事が軽減される措置が講じられていること

 

 

⑤バリアフリー対策が講じられていること

長期優良住宅であるためには、住宅を購入した人が高齢者になっても安心して生活できる設計がなされていることが必要です。
具体的には廊下などの通路部分に車椅子が通過するために必要なスペースを確保することや、手すり・スロープなどの設置が必要になることがあります。
(※現在、一般的な一戸建て住宅への適用はなし)

 

 

⑥省エネルギー対策が講じられていること

長期優良住宅は、建物を長く使うことで環境問題の改善を図るという趣旨があります。
住宅で使用される電力などのエネルギーについても対策を講じなければなりません。
省エネ対策としては「断熱性能(外壁)」「一次エネルギー消費量」という2つの項目で良好な等級を確保する必要があります。

☑断熱等性能等級5以上
→エアコンの使用量を抑えるために特に断熱に優れた外壁にすること

☑一時エネルギー消費量等級6
→エネルギーを消費する量を削減した設備等が設けられていること

 

 

⑦住戸面積が一定以上であること

住宅の面積が小さいと、築数十年経過したときに「もっと大きな家に住みたいから」という理由で建物を建て替えるということもよくあるケースです。
建物を長期で使用するためには、良好な居住水準が確保できる一定以上の規模(面積)であることが必要だと考えられます。
長期優良住宅の認定基準においても住宅の最低面積が定められています。

☑一戸建ての住戸面積:75㎡以上

 

 

⑧居住環境への配慮

長期的に優良な住宅としての価値を守るためには近隣環境への配慮も重要なポイントです。
長期優良住宅として認定されるために、良好な景観形成や地域居住環境の維持・向上に配意慮されたものであることが求められます。
具体的には地区計画や景観条例などのルールに適した建物であるかどうかがチェックされますが、特定の行政庁によって審査されるため、その他の指摘がある場合も考えられます。

 

 

⑨維持保全計画があること

長期的に住宅を使用するためには計画的な維持管理行為も必要です。
認定されるためには「維持保全計画」が策定されていなければなりません。
特に建物の寿命を左右する項目として

(1)構造耐力上主要な部分(柱・梁・基礎など)
(2)水の侵入を防止する部分(屋根や窓枠など)
(3)給排水設備

に対しての保全計画は重要なポイントです。
これらの項目について概ね10年毎に点検を実施するという内容の保全計画を立てておく必要があります。

 

 

長期優良住宅の認定基準は厳しい

長期優良住宅の認定基準について紹介しましたが、審査項目が多くて厳しいという印象を持った人は多いのではないでしょうか。
環境保全のために「一つの建物を長く大切に使う」という考え方が社会の主流となりつつあります。
長期優良住宅を取得することで税制優遇や住宅ローンの金利優遇などのメリットが受けられますし、将来建物を売却するということになったときも資産価値が落ちにくいという利点もあります。
マイホーム購入を考えている方は長期優良住宅の取得を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

コンサル未来では長期優良住宅の設計もご提案できますので、気になる方はぜひお問合せください。

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