住宅ローンの「ボーナス払い」はどう活用するべき?
住宅購入の予定のある方の中には、「ボーナス払い」の活用を考えている方もいるのではないでしょうか。
ボーナス払いを設定することで毎月の返済額が安くなり、住宅が購入しやすくなるとイメージされる方は多いと思います。
たしかにボーナス払いには「返済計画が立てやすくなる」というメリットはありますが、返済中のリスクもあります。
今回はボーナス払いの特徴について解説していきます。
住宅ローンのボーナス払いとは?
住宅ローンにおける「ボーナス払い」とは、毎月返済とは別に年2回まとまった金額を繰り上げて返済できる制度のことをいいます。
たとえば4,000万円の住宅ローンを利用する際、1,000万円部分(25%)をボーナス払いに設定した場合は「①3,000万円の毎月返済ローン」と「②1,000万円の半年ごと返済ローン」を並行して返済するといったイメージです。
手元にまとまった現金があるときに多めに返済することで毎月返済額を抑えることもできるというメリットがあります。
【メリット】毎月の返済額を安くできる
では、ボーナス払いを設定することで毎月の返済額はどれくらい安くなるのでしょうか。
仮に4,000万円の住宅ローンを「ボーナス払い無し」で借り入れた場合、毎月の返済額は約11.2万円になります。(金利1.0%・35年で計算)
一方、同じ借入条件に加えて「ボーナス支給月には20万円を支払う」と設定した場合、毎月の返済額は約7.9万円となります。
毎月の返済額が3万円以上安くなることで支払計画がたてやすくなるというメリットがあります。
【参照】住宅ローン4,000万円(1.0%・35年)を借り入れたときのボーナス払いの金額に対する毎月返済額
ボーナス併用 |
なし |
10万円 |
20万円 |
30万円 |
毎月返済額 |
約11.2万円 |
約9.6万円 |
約7.9万円 |
約6.3万円 |
ボーナス払いのリスク・デメリット
住宅ローンのボーナス払いにはリスクやデメリットはないのでしょうか。
注意すべきポイントについて考えてみましょう。
ボーナス払いにすると返済総額高くなる?
「ボーナス払いにすると返済総額が高くなるのでは?」と気にする方もいると思います。
たしかにボーナス払い設定することで借入元本が減っていくスピードが遅くなりますので結果的に金利負担が大きくなり、返済総額が高くなるというのは事実です。
しかし、その差は思っているほど大きなものではないかもしれません。
たとえば先ほどの例のように借入額4,000万円(金利1.0%・35年・ボーナス払いなし)で住宅ローンを返済した場合、35年の支払総額は約4,742万円となります。
一方、同じ条件でボーナス払いを20万円としたときの支払い総額は4,744万円となります。
35年間の支払総額の差は、ボーナス払いの有無で約2万円となりました。
年2回とは言ってもボーナス払いの部分にも金利は発生しているため、結果的にそれほど大きな差にはならないということが言えます。
ただし、ボーナス払いの割合が高くなるほどその差も大きくなりますので、このような性質があるということは念頭に置いていてもいいかもしれません。
【参照】住宅ローン4,000万円(1.0%・35年)を借り入れたときのボーナス払いの金額と支払総額
ボーナス併用 |
なし |
10万円 |
20万円 |
30万円 |
支払総額 |
約4,742万円 |
約4,743万円 |
約4,744万円 |
約4,746万円 |
ボーナス返済分が大きすぎると支払いが困難になる可能性がある
ボーナス返済の利用を検討する際は、そのリスクも十分に理解しておく必要があります。
たとえば勤務している会社の業績悪化などが原因でボーナスの減額や支給停止があった場合、ボーナス払いの割合が高すぎるとその時点で支払いが困難になってしまいます。
想定していたよりもボーナスの支給額が低かったとしても、最初に設定したボーナス払いの金額を途中で変更することは原則としてできません。
ボーナス払いの割合を設定するときは、「万が一、ボーナスの支給がない月があっても問題なく返済できるか」ということをシミュレーションする必要があります。
■リスクを軽減するために気を付けること |
ボーナス払いの割合はどれくらいがベスト?
ボーナス払いを利用する際、どれくらいの金額に設定するのがベストなのでしょうか。
ほとんどの金融機関ではボーナス払いの割合の上限が定められています。基本的には「借入額の40~50%」と決められているケースが一般的です。
たとえば4,000万円の住宅ローンを借り入れる際、上限の50%をボーナス払いに設定すれば、毎月返済額は約5.6万円、ボーナス時には約34万円の返済額となります。
ここで注意しなければならないのが、「毎月の返済額はかなり安くなるという一方で、ボーナス月には約40万円の住宅費支出になってしまう」ということです。
ボーナス払いの割合が高すぎると、比例してリスクも大きくなってしまうということに気を付ける必要があります。
仮に金融機関の上限が50%だったとしても、20~30%に抑えておくことをおすすめします。
ボーナス払いはどんな人が向いている?
ボーナス払いは、「勤務先からボーナスが支給されることが確実である」という人に向いている制度です。
逆にボーナス支給が不安定な場合は、慎重になった方がいいでしょう。
基本的には、公務員や大企業社員・役員などの属性の方にはボーナス払いが向いていると言えます。
「ボーナス払い=お得な購入方法」というわけではない
ボーナス払いを活用することでお得に返済ができると誤解されがちですが、あくまで支払いの金額と返済のタイミングをコントロールしているだけにすぎず、返済期間全体でみると支払額に大差はありません。
「ボーナス払いだと毎月6万円で家が買える!」と言われると、なんとなくマイホーム購入のハードルが低く見えてしまうかもしれませんが、実際は毎月10万円支払っているのと負担は全く同じということがあるのです。
ただしボーナス払いを設定することで返済計画が立てやすくなるというメリットはありますので、ボーナス払いの利用を検討するときは、その性質を理解して上手に活用するようにしましょう。