住宅を購入するときにかかる諸経費とは?いくらかかる?にお答えします
住宅購入の予算を決めるときに忘れてはならないのが「諸費用」の存在です。
諸費用には登記費用やローン手数料などがありますが、総額でいくらになるのか分かりづらいという人も少なくないと思います。
一般的には本体価格の3~5%前後が目安とされていますが、購入時の状況によってその額も変わります。
ご自身の条件に合わせて、どれくらいの諸費用が必要になるのかをあらかじめ把握しておくようにしましょう。
注文住宅を購入するときにかかる諸経費について項目ごとに解説します。
住宅購入する際に必要な諸経費
住宅を購入する際に必要となる主な諸経費には以下のものがあります。
①仲介手数料
②収入印紙税
③住宅ローン諸経費
④火災保険料
⑤登記費用
⑥不動産取得税
それぞれどういった経費でいくらくらいになるのか、順を追って説明します。
①仲介手数料
「仲介手数料」は、不動産会社から紹介を受けて物件を購入するときに支払う仲介報酬です。
不動産会社の報酬額は「売買価格×3%+6万円(税別)」が上限と法律で規定されています。
たとえば不動産会社を通じて2,000万円の住宅用地を購入するケースだと、「2,000万円×3%+6万円」となり、66万円(税別)の仲介手数料が諸費用としてかかります。
②収入印紙
「印紙税」は、特定の取引のために作成した書類に対して課せられる税金のことです。
一般的な税金とは異なり、課税額に応じた収入印紙(切手のような証票)を郵便局などで購入して書面に貼り付けるという方法で納税します。
住宅購入においては主に「不動産売買契約書」「新築工事請負契約書」「金銭消費貸借契約書」の書類作成時に収入印紙税が課税されます。
■不動産売買契約書
売買契約書は、土地・建物を現所有者から購入することを約する書類です。売買代金に応じて印紙税の額が決まります。
■新築工事請負契約書
請負契約書は、ハウスメーカーに建物新築工事を発注するときに作成する書類です。請負金額に応じて印紙税の額が決まります。
■金銭消費貸借契約書
金銭消費貸借契約書(別名:ローン契約書)は、住宅ローンの融資を受けるにあたって銀行側と締結する書類です。借入額に応じて印紙税が決まります。
契約金額 | 売買契約書 | 請負契約書 | ローン契約書 |
500万円以下 | 1,000円 | 1,000円 | 2,000円 |
1,000万円以下 | 5,000円 | 5,000円 | 10,000円 |
5,000万円以下 | 10,000円 | 10,000円 | 20,000円 |
1億円以下 | 30,000円 | 30,000円 | 60,000円 |
③住宅ローン諸経費
住宅ローンを利用する際に銀行側へ支払う諸経費がかかることを把握しておかなければなりません。
諸経費には主に「事務手数料」「保証料」というものがあります。
■事務手数料
住宅ローンを借入れするために銀行に支払う事務手数料です。
「一律で数万円」と手数料が確定している金融機関もあれば、「借入額の2%」というように借入額に応じて金額が変動する金融機関もあります。
銀行によって大きく差があるので、住宅ローン商品を選ぶときにチェックしておきたいポイントです。
■ローン保証料
万が一ローンの返済が滞っても弁済されるように、あらかじめ保証会社に加入しておく必要があります。
借入額と借入年数に比例して保証料が高くなり、「1,000万円あたり20~30万円」と決められた額をローン契約時に一括で支払うのが一般的です。
最近は一括払いではなく保証料が金利に上乗せされるタイプや、保証料無料の住宅ローン商品も出ていますので、こちらも銀行選定の判断基準の一つとしてチェックするようにしましょう。
④火災保険料
万が一、火災や台風などで建物が被害を受けたときのための火災保険料も必要になります。
住宅ローンを利用する場合は、銀行からも火災保険への加入が義務付けられるケースが多いです。
火災保険は住宅ローン契約時に長期契約で申し込むのが一般的です。
保険会社やプランによって保険料が大きく異なるので、複数の火災保険会社を比較しながら自分に合ったものを選ぶことをおすすめします。
⑤登記費用
不動産を購入したら新しい名義人として登記の手続きをしなければなりません。
登記手続きの際に必要な費用には「登録免許税」と「司法書士に支払う報酬」があります。
■登録免許税
登録免許税は不動産登記の手続きをする際に課税される税金です。
不動産の取得方法が売買なのか新築なのかによって算出方法は若干異なりますが、建物は新築のときはおおむね「固定資産税評価額×0.1%~0.15%」、土地は「固定資産税評価額×1.5%」の額が目安になります。
■司法書士報酬
登記の専門家である司法書士への報酬も別途発生します。
取引内容によって金額の差が生じますが、相場としては1件あたり5~10万円前後が目安になります。
抵当権設定の登記費用
銀行から住宅ローンの融資を受ける場合は、不動産登記簿謄本に銀行名義の抵当権登記(担保)が記録されることになります。
抵当権の設定にかかる登記費用も購入者負担ですので、諸経費計算で忘れないようにしましょう。
抵当権設定登記の登録免許税は、原則として「債権額(借入額)×0.4%」ですが、自己居住用の建物で一定の条件を満たす場合は税率が0.4%から0.1%に引き下げられる軽減措置があります。
⑥不動産取得税
「不動産取得税」は、売買契約などによって不動産を新たに取得した人に納税義務が生じる税金です。土地・建物を取得したときから5〜6ヶ月後に納税通知書が届くので、忘れないように注意しなければなりません。
住宅を取得したときの不動産取得税の税額は、原則として固定資産税評価額に税率(3%)を掛けて算出します。
たとえば土地・建物の固定資産税評価額の合計が2,000万円であれば、2,000万円×3%=60万円の税金がかかる計算になります。
ただ、60万円という高い税金を払わなければ住宅が手に入らないというのは一般の人にとって高いハードルですよね。
現行の税法では、誰でも住宅を購入しやすくするために住宅の不動産取得税が安くなる軽減措置が実施されています。
一定の条件を満たせば60万円よりもかなり安くなりますのでご安心ください。
不動産取得税の軽減措置
軽減措置(減税額)は、土地・建物それぞれで計算方法が異なります。
■建物の軽減措置
建物については固定資産税評価額から一定の額を控除する形で軽減措置がとられています。
建築時期 |
控除額 |
新築 |
1,200万円 |
1997年4月1日以降 |
1,200万円 |
1997年3月31日以前 |
1,000万円 |
1989年3月31日以前 |
450万円 |
1985年6月30日以前 |
420万円 |
1981年6月30日以前 |
350万円 |
1975年12月31日以前 |
230万円 |
1972年12月31日以前 |
150万円 |
1954年7月1日~1963年12月31日 |
100万円 |
たとえば新築した建物の固定資産税額が1,200万円なら、「(1,200万円−1,200万円)×3%」という計算によって税額は0円ということになります。
■土地の軽減措置
土地の軽減措置は「①評価額の控除」「②税額の控除」の2段階の計算式になっています。
①評価額の控除
固定資産税評価額 × 1/2 × 3%
②税額の控除
(土地1㎡当たりの固定資産税評価額 × 1/2) × [課税床面積 × 2(200㎡限度]) × 3%
※45,000円よりも小さい場合は、45,000円が減税額となります。
最終的に①から②を引いた金額が土地の不動産取得税となります。
特に②の減税効果は大きく、大幅に税額を減らすことができます。
新築住宅の不動産取得税は軽減措置のおかげで土地・建物あわせて0円になるということも珍しくないですが、計算が複雑なのが難点です。
不安なときは不動産会社の担当者に質問するようにしましょう。
住宅取得の諸経費まとめ
これまでの諸経費を一覧でまとめると、次のようになります。
住宅購入の際はぜひ参考にしてください。
①仲介手数料 |
不動産会社から物件紹介を受けたときは、売買額×3%+6万円 |
②収入印紙 |
売買契約書、請負契約書、金銭消費貸借書(ローン契約書)それぞれに必要。 一般的な住宅なら各書類に1~2万円 |
③住宅ローン諸経費 |
事務手数料:金融機関に支払う手数料。一律数万円と決まっている銀行もあれば、借入額×2%と借入額に応じて変動する銀行もある |
保証料:保証会社加入の際に支払う手数料。借入額と比例して金額が高くなる。1000万円あたり20~30万円を一括で支払うのが一般的。 |
|
④火災保険料 |
保険のタイプや契約期間によって幅がある |
⑤登記費用 |
登録免許税+司法書士報酬=登記費用 物件評価額・債権額・家屋証明書の有無などによって金額は大きく変わるが、一般的な住宅なら20~50万円前後になることが多い |
⑥不動産取得税 |
原則として固定資産税評価額×3%が税額になるが、住宅の場合は軽減措置のおかげで税額がかなり安くなることが多い。0円になることも。 |